Archive for the ‘何でも十傑’ Category

本格ミステリーと言えば密室殺人事件だ。世界初の諮問探偵オーギュスト・デュパンが登場し快刀乱麻を断つ冴えを見せるE・A・ポー

の「モルグ街の殺人事件」を源流として、それより古典的密室トリックとして名高い、ガストン・ルルーの「黄色い部屋の秘密」、ジ

ョン・ディクスン・カーの「三つの棺」など枚挙に暇がない。世界中のミステリー作家が頭の冴えとトリックにチャレンジしありとあ

らゆるパターンの密室事件が書かれてきた。勝手な想像だが数万の、いやそれ以上の密室があるのだろう。密室はチャレンジ欲をそそ

るのだ。俺がもっと新鮮なアイディアを考えだしてやると….。

あのホームズも「まだらの紐」「唇の曲った男」などで活躍、日本では江戸川乱歩が「D坂の殺人事件」「屋根裏の散歩者」を、横溝

正史が日本的開放家屋での「本陣殺人事件」を著した。名作と呼ばれるものは数多あるのだが、本格ものは結局、合理的で整合性のあ

る結末を提示しなければならないからトリックが分かった時点で、なーんだ!と興醒めするものも多い。むしろ文章作法のレトリック

に凝る作品の方が読者に挑戦状を叩きつける….答えは文章中にあると。大きく分類すれば心理的トリック…機械的トリック…物理的ト

リックに分けられる。後はそれらの組み合わせの様々なバージョンだ。しかし何故こんな面倒な工作をするのだろうか? 

●自殺に見せかける ●アリバイ工作のため ●第三者に罪をなすりつける ●自己顕示欲 ●時間差の錯覚を利用 ●記憶の錯覚を利用 

●他に誘導するためのミスディレクション、等々。 機械的・物理的トリックとしては●鍵穴から糸を利用して内側から鍵を差す。● 毒

ガス・毒液をかける、長い針でインスリンを注射 ●毒蛇、毒蜂などの致死性毒を持つ小動物を使う(実際軍事用にそんな蜂ロボット

を作っているとか) ●矢を射る、氷の弾丸 ●圧搾空気、ウォータージェット、レーザー光線….. ●死体に見せかけ実は生きている 

●窓枠が外れる、部屋全体がエレベーター ● 家がトレーラーハウスで移動 ●殺してから部屋を作り家を建てる ●部屋の温度を急変

せたり、幽霊など幻視を演出しトラウマに衝撃を与え心臓麻痺を起こさす(そんなこと可能?四谷怪談か?)。●催眠術を使う….

どれもこれも無理がありますね。だから社会派ミステリーが生まれたのだ。と、言いながらTVのドラマは酷いもんだ。「死ぬ前に教え

ておいてやろう」….なぜか東尋坊の断崖が多いですね、オイオイ、無駄口叩くまえに殺っちゃったら…..。取り調べ室に容疑者と刑事、

赤トンボの音楽、親子丼、「お前は本当の悪じゃない。全部吐いて真人間になるんだ。….号泣」いい加減にしてよ!。

これがファンタジーや恐怖小説や、SFなら奇想天外なオチで読者を煙に巻くこともできるのだが…….。

憶い出すままに、思考機械による独房からの脱出、また1.5メートル幅、両側は手がかりの無い壁。数秒で犯人が消えた?…..答えは「

いて登った」ロッククライミングでありますね。山小屋で脚を折った男、松葉杖も無く小屋に火をかけられた。…どうして逃げる? ヒ

ント:歩くのは脚だけではない。サーカスの空中ブランコの実演中に観衆の目前で一人が消えた?昔キオの大魔術では双子を使ったと

か、ディビット・カッパーフィールドの舞台では箱ごと空中に持ち上げられ閃光破裂音で消える。途端に観客席の後から爆音とともにハ

ーレー・ダビットソンに跨がったカッパーフィールドが登場、鮮やかでしたね。彼は自由の女神さえ消したのだ。

….読者の推理・想像を超えるオチを求めてミステリー作家は呻吟苦闘するのだが、人間という大きさを抜け出ささすためには4次元空間

でも通らなければ物理的に不可能だ。おまけに現代は音声、録画、GPS、携帯電話、監視カメラ、衛星、無人監視偵察機、グーグルアー

ス、DNA分析、果ては粒子加速器の放射光による極微の物質分析まで出来るのだから….。やはり密室ミステリーは時代が長閑だった19

世紀から20世紀にかけての知的お遊びだったのだろう。これからもハイテクをかいくぐって新鮮な「密室殺人事件」が書かれるのだろ

うか。ところがフーデーニも吃驚の歴とした「密室からの脱出」が現実にあるのだ。現代の量子力学によると古典的物理学理論では乗

り越えられないポテンシャル障壁を量子効果によって透過してしまうのだ。粒子の波動関数が障壁の外まで染み出してしまうからだ。

走査型トンネル顕微鏡や電子デバイスなど現代の様々な機器に応用されているのだ。あなたのPCもフラッシュメモリーもね。そしてこ

の宇宙も無から有に、量子のゆらぎがトンネル効果で生み出されたというのだ。まさに密室ミステリーもここに極まれりだ。

世の中にはとんでもないその道の大家がいるもので、シャーロッキアン達はその典型だろう。架空の人物をここまで深く研究し夥しい

論文を発表し続けているのだ。恐らくシェィクスピア研究以上ではないだろうか。カノン(聖典)60編、せいぜい鞄に入る量でしかな

いが、研究書なら部屋一杯になるだろう。ぼくは純粋のシャーロッキアンではないが、なぜか子どものころより強く惹かれ何回再読し

ただろう。そして研究書の類いも結構読んできたものだ(いくら好きだからといってとてもそこまではできないね)。そこで自分なり

の採点をして10傑を選んでみた。通俗かも知れないがそれぞれにはそれなりの思い入れがある。まあ、これが好きだ!それだけ。

1位 バスカヴィル家の犬 …..怪奇な伝説、荒涼たる風景、底なし沼、そして青白い魔犬。舞台装置と言い、二人の活躍といい…。

2位 まだらの紐………………蛇には耳が無いしミルクは飲まない。難点は多いのだがミステリアスな雰囲気がいいんだね。

3位 唇の曲がった男………….アイディアがいいんだね。そしてホームズが阿片窟にいたりして。

4位
 赤毛組合
…………………こんな馬鹿な話は無いのだが、そのアイディアに脱帽だ。三人のガリデブも基本構造は似ていますね。

5位 青いガーネット
…………話の意外性がおもしろい。帽子からの推理、鵞鳥、ケチな小悪党、パブやコベントガーデン市場は当時の

              ロンドンを彷彿させる。当時の下町なんか凄かったのだろう。切り裂きジャックなんか跋扈して….。

6位瀕死の探偵……………….いま読めばけっこう陳腐なんだが小学生のころはそのアイディアに唸りましたね。

7位 踊る人形……………………暗号小説だが、これだけの材料で推理するとは!ポーの「黄金虫」の方がはるかに緻密なんですが….。

             でも人形の落書きが暗号というのがね。

8位 六つのナポレオン……….これもアイディアの素晴らしさ。これ以後この手のやり口が….。本物を目眩ませさせるため大量殺人とか。

9位 ぶなの木屋敷の怪………..物語の出来よりヴァイオレット・ハンター嬢がね。ホームズには何故かヴァイオレットという名前がよく

             登場する。それはホームズの妹の名前がそうだったからだ。「ぼくの妹だったら行かせないね」この一言

             が答えである。当時は教育ある女性の仕事は家庭教師しかなかったのですね。そしてストーリーは何だか

             「ジェーンエア」や「レベッカ」とダブってしまうのですが…。

10位……最後は迷うのです。ホームズがデビューした「緋色の研究」か、あの女性アイリーン・アドラーか、モーンスタン嬢か、ホー

ムズが復活した空き屋か、嗚呼! 迷ってしまいます。

ワーストなら、ほらあれですよ….ホメオパシーかレメディか、ホルモン剤か、またまたバイアグラか。

御用だ!神妙にしろイッ!捕物帳はなんて愉しいんだ。この日本独自のミステリーは岡本綺堂「半七捕物帳」を嚆矢をもってするが、

そこには「半七は江戸の隠れたるシャアロック・ホウムズであった……」とある。でも江戸時代は科学的操作方法も無かったし、ミステ

リーといっても理詰めの推理の構成は不可能だ。そこで結局町奉行配下の与力,同心、目明しが大江戸八百八町を生きいきと駆ける…

その情緒、風俗、人々の人情味など独特の日本的風景エンターテインメント物語になった。逝し世の面影をよすがとするわけだ。

【半七捕物帳】岡本綺堂 明治中期に律儀で昔かたぎの半七老人の思い出を、茶飲み話を聞くうちに手柄話や失敗談、情緒たっぷり。 

【銭形平次捕物控】野村胡堂 親分、てえ変だ、てえ変だ!…何でえ、うるせえぞ、ガラッ八! 

【明治開化安吾捕物帳】坂口安吾 鹿鳴館時代を背景に旗本の末孫で洋行がえりのハイカラ男結城新十郎。剣術師範泉山虎之助、戯作者

 花廼屋因果、それに氷川の隠居勝海舟が絡む。海舟の冷徹な推理は……なんだ。

【若さま侍捕物手帖】城昌幸 若さまが船宿喜仙の二階座敷で、ちびりちびりと、そこへ岡っ引きの小吉が駆け来んでくる…。

【顎十郎捕物帖】久生十蘭 長大な顎から付いたあだ名とそのコンプレックスを持つ風来坊、仙波阿古十郎の活躍を描く捕物帳。

【人形佐七捕物帳】横溝正史 妖艶・情痴・怪奇・諧謔・残酷のからむ横溝正史ならではの面白さ。神田お玉が池のイケメン佐七。

【風車の浜吉捕物綴】伊藤桂一 小石川伝通院で風車を売るもの静かな男、浜吉。ある事情から江戸所払いになった暗い過去、元は根

 津の親分と言われた岡っ引きだった。諸国を放浪し人足時代におぼえた籠風車作り。世を偲んでひっそりと生きているが…。

【加田三七捕物そば屋】村上元三 旧幕時代、南町奉行所同心であった加田三七、御維新後湯島で蕎麦屋を始めた。だが昔の血が騒ぐ。

【貧乏同心御用帳】【岡っ引きどぶ】柴田錬三郎 何人もの親無し子を育てながらの貧乏同心、大和川喜八郎。

 岡っ引きどぶ、こいつは武士を捨てて飲む・打つ・買うの放蕩三昧。まあ狂四郎やら色んなのが出てくるは…。柴錬ここにあり!

【神谷玄次郎捕物控】藤沢周平、北町奉行所の定町廻り怠け者同心。

【耳なし源蔵召捕記事】有明夏夫 大阪弁がええねー。舞台は明治やさかい、化学をケミカル→舍密となって科学的捜査や岡蒸気に乗

 るのが大好きやし。耳なしの海坊主親分が一発カマス!。ほら浪速のど根性でっせ。

【彩色江戸切り絵図】【無宿人別帳】松本清張 切り絵図の「蔵の中」なんて大店の殺人事件なんだが、ある朝庭に穴が掘ってあって

 その中で男が死んでいる。一体何んで穴掘ったんだ?以外や以外、さすが清張ミステリー….。人別帳の大牢の話、こりゃ凄い、老名

 主、詰めのご隠居なんて、おめー、ツルはどうした?少し暑苦しいぜ、さくを作ろうぜ、きめ板で…..そして赤猫だーッ。

【鬼平犯科帳】池波正太郎 言わずと知れた火付盗賊改、長谷川平蔵だ。おとなしく縛につけイ!最近は彼の食生活のほうが人気!

【深川安楽亭】山本周五郎 捕物帳じゃないが、江戸の吹きだまりにのなかの人情。映画「いのちぼうにふろう」小林正樹の傑作。

●「与力同心目明しの生活」(1970年)横倉辰次:生活史叢書:捕物帳を読むにはその背景を。伝馬町の牢のしきたりなんてそれはもう!

 刺青の違いや縛り方、刑罰、お仕置き……興味がそそられる。江戸時代の刑罰はこのようだったのだ。首切り朝右衛門なんか……。

●「図解・隠し武器百科」(1977年)名和弓雄/新人物往来社:江戸時代は道具の発達は無かったという定説があるが、何のなんの、

 あるはあるは、あらゆるユニークな武器の百貨店だ。飛び道具印地ってご存知?子連れ狼に印地打ちの男が登場したりして。

よう、よう!それにしても「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「遠山の金さん」は気に食わねエぜ、だってよ、最後は権力を振り回すん

だぜ。何が庶民の味方でぇ、てめえは上にいてよ、食うや食わずのあっしらのことが分かるかッてんダ!てやんでェー!


サスペンス神様、スリラーの巨匠、プロットの天才、映像の魔術師、スリラーの帝王、おとぼけとマクガフィン…。いくら賞賛の言葉

を羅列しても映画を見りゃ納得する。大統領の顔の上を逃げ回り、鳥の群が襲い、裏窓から覗き見をし、列車から貴婦人が消え、高所

恐怖症にさいなまれ、間違えられて危機一髪!…。ハラハラ、ドキドキ、イライラ、ゾクゾク、ワクワクなど、心理的オノマトペアが

盛りだくさん。そう、サスペンスとはズボン吊りのサスペンダーと語源は同じ。宙ぶらりんの状態に置くと言う事。ヒッチコック先生、

あんたはエンターテインメントの王様だ!イギリス時代の古い作品は別として何回繰り返して見ただろう。「独断と偏見」という思い

上がった厭な常套句を使わせていただくとして、そこで私なりの順位をつけてみる。

1.「サイコ」1960:ロバート・ブロック原作、結末は喋るな!と箝口令。シャワーシーンのゾクゾク感、たまりませんね。

2.「北北西に進路をとれ」1959:完成度は一番。タイトルはあのソール・バス。突如飛行機に襲われ、これは007の「ロシヤから愛を

 こめて」が頂いていた。そしてラシュモア山の大統領の顔の上で…。恐いですねー。カッコいいですねー。お洒落ですねー。

3.「鳥」1963:T・ヘドレンの背景のジャングルジムに烏が一匹、また一匹…。おい気がつけよ!カメラがパンすると真っ黒に。

4.「裏窓」1954:動けない。カメラの視点で裏窓を覗いていると。….アイディアの勝利。

5.「見知らぬ乗客」1957:あのライターが排水溝に落ちて拾おうとするシーン、イライラ、ゾクゾク、ヒッチの笑い顔が眼に浮かぶ…。

6.「めまい」1958:話は上手すぎるけれど、当時は精神分析が大流行だった。カウチに寝そべって催眠術なんか..。あの頃ヴァンス・パ

 ッカードの「隠れた説得者」やスキンナーのネズミの実験、マズローの欲望の段階なんかの心理学が人気の時代でしたね。

7.「逃走迷路」1942:自由の女神のトーチでのアクション、高所恐怖症には刺激が強すぎる。「北北西に進路を取れ」の原点ですね。

8.「ロープ」1948:知的サスペンスそのもの。まるで舞台劇を見るような…。

9.「海外特派員」1940:あの、こうもり傘が群がるシーンだけでも必見。

10.「バルカン超特急」:これはジョディ・フォスターの「フライトプラン」がそのままパクっていましたね。

いや、「泥棒成金」も「白い恐怖」も「引き裂かれたカーテン」も「ダイヤルMを廻せ」も「レベッカ」も「救命艇」も、みんなみん

な…。品性があってユーモアとおとぼけ、シルバースクリーン(銀幕と言ったほうが)の中だけに存在する美女、映像の美しさ、カメ

ラワークの見事さ、そして光と影の絶妙さ!すっとぼけたヒッチのメタボのシルエットが何とも素敵だが、テリブル・シンドロームは

もっと素晴らしい。アルフレッド・ヒッチコック先生に乾杯!「ヒッチコック・マガジン」「ヒッチコック劇場」…ぼくの青春だった。

探偵稼業もやり辛くなったものだ。携帯電話、GPS、監視カメラ、司法解剖、ガスクロマトグラフィー、DNA鑑定、毒物の組成を

調べるためにSPring8まで使うのだから。密室殺人、凶器、トリック、そして大団円という図式が成立しなくなった。だから探偵

が輝いていたのは19世紀後半から20世紀前半なのである。いかに読者に挑むか作者たちが技巧と知恵を絞った時代である。推理、

ミスディレクション、倒叙、安楽椅子探偵….。これら珠玉の作品を愉しむのはこの上ない悦楽である。とても十傑を選べといって

も無理なので、あくまで私の印象に残る作品の紹介である。E・クインや江戸川乱歩の選んだのとほとんど同じになってしまった。

「盗まれた手紙」エドガー・アラン・ポー:史上初の探偵C・オーギュスト・デュパンの登場(1841年・モルグ街の殺人)。

「唇のねじれた男」コナン・ドイル:あのシャーロック・ホームズがアヘン窟にいた。….商売は三日やったら止められない。

「ダブリン事件」バロネロ・オルツイ:安楽椅子探偵、隅の老人。名前も何も分からない謎の老人が推理力で…。

「13号独房の問題」ジャック・フィットル:オーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼン、思考機械の登場。

 フィットルは1912年タイタニック号遭難事故で死亡。

「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン:あの紳士にして強盗、詐欺師、冒険家、アルセーヌ・リュパンが活躍。

「オスカー・ブロズキー事件」R・オースチン・フリーマン:当時最新の法医学や鑑識技術を取り入れ、一見不可能に見える事件

 を科学的に解明。ソーンダイク博士の頭脳が冴える。

「ギルバート・マレル卿の絵」ヴィクター・L・ホワイトチャーチ:走行中の列車から目指す一両だけをどうすれば抜きだせるのか?

「堕天使の物語」パーシヴァル・ワイルド:カードゲームのトリック、その労力たるや…。奇術師ロベール・ウーダンによる

 いかさまの話からと言うが果たして。

「茶の葉」エドガー・ジェプスン&ロバート・ユーステス:トルコ風呂殺人、凶器は何だ?…この手はいっぱい模作を生んだ。

 おかげで今ならすぐ思いつく。凶器は….の槍で殺したというのを読んだことがある。

「密室の行者」ロナルド・A・ノックス:密室殺人、食料が豊富な部屋にいて、なぜ餓死なんだ?

「二壜のソース」ロード・ダンセイニ:死体を隠せ!なぜ薪割りなんかしているんだ。

現代ではアイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」会話を聞いていた給仕のヘンリーの推理が冴える。

「ユニオンクラブ」微睡んでいた意地悪爺さんグリズウォルドがやおら目を覚まし…。大好きだ。 

他にもエルキュール・ポワロ、ブラウン神父、ドルリー・レーン、アンクル・アブナー、マックス・カラドス、ミス・マープル

などなど、いかに個性的探偵を創作するかと多彩である。わが国にも明智小五郎、金田一耕助、三河町の半七、神津恭介と…。

「恐怖は人間の最も古い、最も強い感情だ」H.P.ラブクラフト…これほど技巧を要する小説はないのではないか、近代恐怖

小説はE.A.ポーを嚆矢とをもってするが、名作と呼ばれるものは洗練の珠玉である。ラブクラフトのクトゥル神話系は邪神

や物の怪だし、スプラッターは美しくない。やはりゴシック・ロマンや怪談のおどろおどろしいところがいい。

「猿の手」W.W.ジェイコブス:猿の手は三つの願いを聞いてくれるが…。かってのオーソン・ウェルズ劇場の第一話じゃなかっ

 たか?ほんとうに良く出来た話だね。映画「マタンゴ」の原作ウィリアム・ホープ・ホジスンの「闇の声」もいいね。

「たんす」半村良:夜中になると一人ずつたんすの上に座り虚空を見ている…。たんすの取手がカタンカタンと聞こえる。

 おとよー、お前のたんすをもって来たよー。何が見えるって?あんたも座ってみたら見えるんだよ。

「レミング」リチャード・マシスン:1ページに足りない短編であるが映像がリアルに浮かびあがる。連合軍が撤退した跡

 のダンケルクの海岸を思い出すね。

「早過ぎた埋葬」E.A.ポー:ポーにはたまらない耽美性がありますね。古典の名作中の名作。「赤き死の仮面」なんてそれ

 はもう!リチャード・マシスンの「墓場からの帰還」も同テーマ。

「人間椅子」江戸川乱歩:奥さま、いまお座りの椅子は…。ゾーッとするとはこのことだね。

「炎天」W.F.ハーヴィー:うだるような日、墓石に自分の名が刻まれていた…。

「青頭巾」上田秋成:瞼に瞼をもたせ、手に手をとりくみて日を經給ふが、終に心神みだれ、生きてありし日に違がわず戯

 れつつも、其の肉の腐り爛れるを吝て、肉を吸骨を嘗て、はた喫いつくしぬ。…この辺は鬼気迫るね。江月照松風吹 永

 夜清夜何所為(こうげつてらししょうふうふく えいやせいしょうなんのしょいぞ)そもさん夜何所為ぞ!喝!「菊花の

 契り」「吉備津の釜」「浅芽が宿」も忘れ難いね。

「ポインター氏の日録」M.R.ジェイムス:カーテンが揺らめき、安楽椅子から垂らしたした指先に触れたものは…。

「家のなかの絵」H.P.ラブクラフト:雨宿りに田舎の廃屋のような家に入ると一冊の挿絵本が開かれていた…。

「耳なし芳一」小泉八雲:身体にお経を書く、これは不気味。シュワルッツネッガーの映画「コナン」で真似していたね。

 そして「因果話」…奥方が臨終に殿寵愛の女を呼んで、庭の桜を見せておくれ。おぶった途端両乳房を握りしめ「とうと

 う願いがかなったぞえ、ああ嬉や」とこと切れた。手は乳房と一体になりどうしても取れなかった。女の胸には黒く萎び

 た手首だけが残され、夜になると乳房を責め苛んだ、彼女は尼になって国々を放浪したという…。

一度読んだら何か「奇妙な味」が後に残り忘れ難い短編小説がある。割り切れなさ、不気味さ、シックジョーク、ブラックユーモア、

ホラー、ファンタジー、リドル・ストーリー…。何でもありなのだが超絶技巧を凝らしたプロット、どんでん返し、オチがいいんだ。

名作を選ぶのにあまりに迷うので順位はつけられない。迷いに迷い現在書きかけです。

「女か虎か」フランク・ストックトン:どんな話かは読んでいただくとして、これは人間心理の迷宮だね。

「ふくろうの河」アンビローズ・ビアス:これは映画にもなった(ロベール・アンリコ、フランス1961年、You Tubeで見ることがで

 きる)。これが素晴らしい。昔トワイライトゾーンだったと思うが見たんだ。時は過ぎまたを見たくって姫路の駅ビルにある映画

 館まで追いかけて行った。ビター(苦い)ビアスと言われるだけのことはある。「愛国は悪人の最後の逃げどころ」(悪魔の辞典)

「テイスト」ロアルト・ダール:ワインの当てっこなんだが引き込まれるね。「南から来た男」とどちらを取るか迷うのだが…。リゾ

 ートホテルで若者が賭けをする。ライターが10回連続でつくかどうか?ヒッチコック劇場で放映した。なんとS・マックィーンだ。

 P・ローレがなんとも…。これもYou Tubeにある。ロアルト・ダールには名作が多過ぎて…。

「開かれた窓」サキ:有名すぎますね。でも孤独な少年が凶暴な鼬を飼う「スレドニ・ヴァシュター」も心に残る味だね。

「注文の多い料理店」宮沢賢治:童話なんだけど、ある意味ではエリンの特別料理より凄いかも。

「賢者の贈りもの」O・ヘンリー:あまりにも有名過ぎるが見事としか言いようがない。「最後の一葉」も名作中の名作だね。

「特別料理」スタンリイ・エリン:チシャ猫の笑いが頭にこびりつくね。「最後の一壜」ウーン!こんなワインがあるのかね。

「みずうみ」レイ・ブラッドヴェリ:幼い頃、仲良しの女の子と汀で砂の城を作った。彼女が水死して、時は過ぎ…。ブラッドヴ

 ェリには素晴らしいのが多過ぎて。「乙女」「刺青の男」「大鎌」…。

頂上の男」R・ブレットナー:8000メートルの山に挑戦する男が頂上で見たものは…。

「アムンゼンのテント」J・マーチン・リーイ:南極点に放棄されたテントがあった…。中を見るな!見てはならない!

金の斧」ガストン・ルルー:保養地で出会った女性に金の斧のアクセサリーをプレゼントした…。余談だが「シュミット親方の

 首切り日記」を昔読んだ。山田浅右衛門吉亮を描いた綱淵 謙錠の「斬」は秀逸。吉亮晩年の写真を何かの本で見た事がある。

閑話休題、他にも「押し絵と旅する男」江戸川乱歩、「ミリアム」トルーマン・カポーティ、「蛇」スタインベック、「夢十夜」

夏目漱石、「件」内田百軒、ヘンリー・スレッサー、パトリシア・ハイスミス、あれもこれも…。

冒険バッハは(小川)ではないメール(大洋)だ。とヴェートーヴェンが言った…。E.A.ポーは「ユリイカ」「ハンスプファール無類の

冒険」「アッシャー家の崩壊」「早過ぎた埋葬」「モルグ街の事件」「メエルシュトレエムに呑まれて」「大烏」とSF、推理・探偵、

恐怖、怪異、冒険、あの素晴らしい詩。全てポーに行き着く。メール(海)なのである。だから別格として別の機会に。

冒険小説といっても幅が広い。探検、サヴァイヴァル、ミステリー、刑事・探偵、戦争、スパイ、山岳、海洋など様々なジャンルが

ある。さて、悩んだ末、面白い順番で選ぶしかないだろう。と言うものの難しいことこの上ない。そこでプラス10として選んでみた。

1.「高い砦」デズモンド・バグリー:ハイジャックされアンデス高地に不時着した人々が、独裁政府軍に襲われた。高山病に苦しみな

 がら石弓を作り…。「爆走大陸」原題ジャガノート。舞台はアフリカ、政変、ジャガノート(山車)のような巨大トレーラーで脱出

 を図るが…。

2.「北壁の死闘」ボブ・ラングレー:アイガー北壁、神々のトラバースで凍りついた遺体を発見。ナチ騎士十字章と美女の写真が…。

3.「女王陛下のユリシーズ号」アリステア・マクリーン:対ソ支援のコンボイがムルマンスクへ…。護衛艦ユリシーズの死闘。

4.「A-10奪還チーム出動せよ」S.L.トンプソン:冷戦下、東西ドイツに暗躍するスパイチーム。頼りになる相棒は5000ccV8搭載

 500馬力のフォード・フェアモント。とにかく手に汗握るカーチェイス。

5.「深夜プラス1」ギャビン・ライアル:プロフェッショナルとはこういう男たちなのだ!

6.「ジャッカルの日」F.フォーサイス:読み出したら止めれない。気がつけば朝だった。

7.「戦争の犬たち」F.フォーサイス:キャット・シャノンいい名だ。さあ、戦いの犬を解き放て…シェイクスピア。

 映画「ワイルドギース」も傭兵ものとしてなかなかでした。…… 傭兵たちの挽歌。

8.「シャドー81」ルシアン・ネイハム:戦闘機がジャンボジェットをハイジャック。この奇想天外がいい。

9.「飛べフェニックス」エルストン・トレヴァー:砂漠に不時着した双胴機を改造して脱出しようと…。その設計者が実は…。

 映画も実に面白い。アルドリッチは職人だね。飛行シーンはポール・マンツ空軍、彼はこの撮影で還らぬ人となった。

10.「ロビンソン漂流記」ダニエル・デフォー:1719年刊行。サヴァイヴァルものの嚆矢。ということはスウィフトの「ガリバー旅行

 記」の方が冒険に次ぐ冒険だね。平賀源内もそんなの書いていたっけ?

11.「白鯨」ハーマン・メルヴィル:これを冒険小説に入れるかどうかは別として、海洋冒険としては頗る面白い。

 白鯨とは何か?悪の象徴か?

12.「血の収穫」ダシール・ハメット:ハードボイルド、映画「用心棒」の基と言われる。そうなると「マルタの鷹」も。

13.「バスカヴィル家の犬」コナン・ドイル:今さら言うこともなしS・ホームズの最高作。

 ワトソン君、君なら二十傑をどう推理するかね?

14.「さらば愛しき人よ」R・チャンドラー:これもハードボイルドだけれど。映画ではロバート・ミッチャムのが一番だね。けだるい

 テナーをバックにネオンの点滅が映る窓。「最近疲れを憶える、歳のせいか?この気候のせいか?」泣かせるね。この中年男がいい

 んだ。シャーロット・ランプリングの何かを含んだ眼、悪女ぶり。そしてジョー・ディマジオの連続ヒットなんかが絡んでね。

15.「鷲は舞い降りた」ジャック・ヒギンス:チャーチル暗殺の指令を受けて鷲は飛び立つ。デブリンは「私が最後の冒険者だからだ」

 とシュタイナに答える。葉巻をくわえた男の暗殺に成功するが…。

16.「野獣死すべし」大藪春彦:ソ連軍のバラライカに追われて引上げ者としての過去。彼の自叙伝?映画では仲代達矢でしょう。

 松田優作のも見た。これは酷い!戦場カメラマンのPTSD、その大演説。堪え難いほど陳腐。何で音楽がアルビノーニのアダージョ

 なんだ。

17.「海底2万マイル」ジュール・ベルヌ:SFの分類?海洋冒険大活劇。子供心に映画も興奮したね。ネモ船長は複雑な過去と心の持ち

 主、パイプオルガンでバッハのトッカータとフーガなんて。

18.「黄土の奔流」生島次郎:金に匹敵すると言われる豚毛を求めて揚子江を遡り重慶へ…。

19.「砂のクロニクル」船戸与一:クルドの武装ゲリラ、ホメイニの革命防衛隊、片足の日本人。彼女の死、そして、いま生を終る。

20.「アラスカ前線」ハンス・オットー・マイスナー:日本人特殊部隊がアラスカで…。変な日本の戦艦の名前、何か風船爆弾を思い出

 すね。まあ、最後はハッピーなんだが。

番外「敵中横断三百里」山中峯太郎:椛島勝一の挿絵がいいんだ。昔、映画も見たよ。「海底軍艦」押川春浪:電光艇と桜木大佐の活

躍や如何に?「インディジョーンズ」「トム・ソーヤー」「針の眼」「アイガーサンクション」「ストーンシティ」「人外魔境」ほか

にもいっぱい!いっぱい!思い出したら書き直します。

西部前線1.「西部前線異常なし」レマルク原作、監督 ルイス・マイルストン。1930年アメリカ製映画。鉄条網に突撃してくる敵を機関銃が

 なぎ倒すシーンは凄絶だ。そして休暇、学校、前線復帰、静かな塹壕、蝶に手を伸ばす。……..その日、西部前線異常なし。

2.「人間の条件」五味川純平原作、小林正樹監督。全6部の総上映時間は9時間31分。戦争における人間性とは。かっては日本でも

 こんな映画が作れたのだ。TV版は加藤剛主演。戦争を越えた世代が少なくなっていくいま、もう戦争映画は作れないだろう。

3.「人間魚雷回天」松林宗恵監督。…「僕たちは何て時代に生まれたんだ」「Es ist Gut これでいいんだ」その言葉を残して出撃。

4.「二十四の瞳」監督木下恵介。海の色も、山の姿も、昨日につづく今日であった…。出征兵士を送る打ち振る旗の列、軍歌。白

 木の箱の帰還。戦争シーンはないが重い戦争の影が覆っている。「この写真だけは見えるんや」そして仰げば尊し…木下監督は

 歌が好きだ。歌が時代の大きなうねりの中の人間を描いている。同監督の「陸軍」この最後の約10分に凝縮されている。遠くに

 進軍喇叭が…母が駆け出す…歓声と人の波…〜軍靴の響き地を圧し血潮溢れて出ゆくぞ〜…息子を探す…顔を見つめる…兵士が去っ

 て行く…手を合わす。武運長久を願ったのか? 否、子の母である。これが敗色濃い時代に陸軍省からの声で作られた映画とは!

 田中絹代の表情の移り変わりだけでの表現、言葉はいらない

5.「Uボート」監督W・ペターゼン。駆逐艦に制圧され、息を潜めながらソナー音と爆雷、閉所恐怖症には耐えられない。

6.「フルメタルジャケット」監督S・キューブリック。フルメタルジャケット・軍用被甲弾、それは真摯だ。弾は相手を選ばない。

 MICKY MOUSE MICKY MOUSE MICKY MOUSE

7.「僕の村は戦場だった」監督タルコフスキー。1枚の写真、最後まで敵を睨みつけているイワンの顔があった。詩情、映像美。

 タルコフスキーだ。

8.「独立機関銃隊未だ射撃中」監督谷口千吉。ソ満国境、トーチカで迎え撃つ兵。佐藤允の農民出身兵、その遺書、たどたどしい

 平仮名で「とったんは、いま…」。生き残った兵が花に手を伸ばす…。うろ覚えだが、本来は日本兵の屍を越えてソ連軍が「自由

 のために」「ウラー」などと叫びながら軍靴が踏越えて行くはずだったのだが、さすがにそれはカットしたそうだ。そんなことを

 読んだ記憶がある。

9.「アタック」監督R・アルドリッチ。ジャッ・クパランスが「神よ!お願いです。1分間だけ生かしてください!」の絶叫。

10.「地獄の黙示録」原作コンラッド「闇の奥」、監督F・コッポラ。前半100点、後半0点。チョッパーの襲撃、鳴り響くワルキュ

 ーレ、この音楽を使った映画は日映の記録フィルム「落下傘部隊パレンバン降下」のシーンが初めてだと思う。連合軍コンボイと

 Uボートの死闘を記録した「大西洋の戦い」にも使われていた。それにしてもコッポラは何を言いたかったんだろうね。

 「恐怖だ、恐怖だ」。

プラス1.「かくも長き不在」監督アンリ・コルビ、脚本マルグリット・デユラス。パリで小さなカフェを営む中年の女、かってドイ

 ツ軍に連れ去られた夫にそっくりな浮浪者に出会う。彼は記憶喪失者だ。「何も…本当に何も…覚えていないの?」「ノン」。

 「誰も…たったひとりだけでも…?」「ノン」。アリダ・ヴァリが哀しくも美しい。…ソフィア・ローレンの「ひまわり」も。

戦争映画にしても小説でも負けた側の眼から見みたものに名作が多い。1万メートル以上の高空から爆弾を落としても罪の意識はあま

り感じられないだろう。誰もが戦場に行けば、その悲惨さや残酷さは実感できるだろうがそうもいかない。報道写真や映画で多くの

人たちが見ることにより少しでも感じることができれば…。「ヒロシマ」「原爆の子」「ひめゆりの塔」「沖縄健児隊(鉄血勤王

隊)」「火垂の墓」もう一度見たいとは思うのだが辛くて見れない。「橋」ドイツの小さな町、少年たちが橋を守ろうと。「野火」

レイテの山を彷徨する兵、猿の肉だ…。「太平洋の地獄」監督ジョン・ブアマン。三船敏郎とリー・マービンが太平洋の島で。

「眼下の敵」監督D・パウエル。爆雷の炸裂とはこんなに

凄いものか!実写は違う。ヘッジホグは積んでいなかったのか?。「独立愚連隊」監督岡本喜八。戦争西部劇、佐藤允の怪演。

ワースト:「パールハーバー」長い、退屈、見れるのはCGのみ。「プライベート・ライアン」星条旗パタパタそれだけ。

「硫黄島からの手紙」あの時代あんなチンタラした兵隊いたのかしら、人間を描きたかったんだろうけど、俺でもぶん殴りた

いね。これでイーストウッドのファンだったのだが半減したね。「硫黄島の星条旗」の方がマシ。原作はいいのにね。

…これだったらJ・ウェインの「「硫黄島の砂」の方が断然上!あの有名な星条旗を立てる写真、本物が登場している。原作は彼ら

の生涯を追っていくんだ。英雄となったその日から人生が変わった…。菊島到の「硫黄島」とその映画、R.F.ニューカムの「硫黄島」

も考えさせられる。

monster1.「キングコング」1933年公開。以後、怪獣映画の基となる独創性に乾杯だ。おどろおどろしいスカル島、異様な壁、恐竜との戦い、

 見せ物興行「世界八番目の奇跡」、大都市の破壊、美女と野獣、哀れみを誘うその死…。リメイク版はオリジナルを越えられないの

 例え通り、どうってこと無かった。最新のリメイク版はあえて30年代に設定したが、退屈このうえなし!CGより「おどろおどろし

 さ」こそ活動写真だ。私が小学1年生のとき生まれて初めて見た洋画である。松明、銅鑼、ジャングルをかき分けコングが現れると

 きのあの怖かったこと。怪獣映画の金字塔。

2.「ゴジラ」1954年公開。背景に核兵器への批判がある。ラジオドラマにもなった?オキシジェン・デストロイヤーで退治。「ゴジラ

 の逆襲」までは許されるが、それ以後は堕落の一途。アメリカ版の予告編は素晴らしかった(それで劇場に足を運んだ)が、ありゃ

 トカゲだ。最悪だ。

3.「トリフィド」ジョン・ウィンダム原作。流星を見た人類が視力を失った…食肉植物トリフィドが徘徊する。数少ない見える人が…。

 映画は?×。

4.「影が行く」ジョン・W・キャンベルJr.。この悪趣味な怪物を見ろ!遊星からの物体Xとして2回映画になった。両方ともなかなか

 面白かった。

5.「エイリアン」リドリー・スコット監督。1979年公開。この不気味さ、H.R.ギーガーの才能に参った(早速ネクロノミコンの画集を

 買った)。変態をしていく奇怪さ、全部を見せないもどかしさ…。いつのまにやらプレデターとジョイントしてB級になってしまった

 が。あの宇宙船の名がノストローモ号、これはJ・コンラッドの小説から取ったのかしら。

6.「ひる」ロバート・シェクリイ原作。ある日妙な生物が…殺そうとしてエネルギーを加えるほど成長する。ああ、最後が怖い。

7.「フランケンシュタインの怪物」メアリー・シェリー原作。いつのまにか博士の名が怪物になってしまった。まあボリス・カーロフ

 でしょう。

8「ドラキュラ」ブラム・ストーカー原作。もうおなじみすぎて…。ベラ・ルゴシ、クリストファー・リー、どっちがいい?

9.「ウィンク」小松左京。人間の情報受信の大半は目だ。エイリアンは目となって…。蛇口をひねると、血管を引きずった眼球がドロ

 ドロと…。

10.「覚・さとり」夜の深山で一人でたき火をしていると現れたりする。こちらの思っていること全てを見透かし、こちらが口に出す

 よりも早くそれらを喋る。心を読む山爺という妖怪。未来が見える男「夜は千の眼を持つ」というE.G.ロビンソンの映画があった。

 水木しげるの妖怪に百目というのもいたね。12世紀ビンゲンのヒルデガルドのヴィジョン「光り輝くもの」にも体中眼の絵があった。

番外特別:「人間」昔N.Yの動物園に何も入っていない檻があった。中に鏡が張ってあって「最も危険な動物」との標識が掲げてあった

そうな。核爆弾、生物兵器、毒ガス、アウシュヴィッツ、ヒロシマ・ナガサキ、ドレスデン、ジュウケイ・ナンキン…。平然と行う神経

はモンスターを越えている。