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Farewell, My Lovely さらば愛しき女よ

Published: 2011年2月2日

ハードボイルド映画の最高は何か?まあ、好きか嫌いかそれだけなのだが、私なら

文句なくロバート・ミッチャム主演の「Farewell, My Lovely」(1975)だ。

1941年のロサンゼルス。安ホテルの窓にマーロウの影、点滅するネオン、「最近疲

れを感じる。歳のせいか気候のせいか?……。バックにアルトサックスが気怠く流

れる。このイントロダクションでグッとくるね。

とにかく別ウィンドウを開いてYou Tubeのこれを流しながら読んで。

時代は第二次大戦中なのだ。当時のの日本とは大違いだ。そう、ヤンキースのディ

マジオが56試合連続安打記録とか…..。大男ムース・マロイ(ジャック・オハローラ

ン)から、ベルマというパンティのようにキュートな女を捜してくれと依頼される。

捜査のなかアル中未亡人のジェシー(サラ・マイルズ-いいね)。若き日のシルベ

スター・スタローンのチンピラやら、悩ましい視線と曲線で迫るヘレン(シャーロ

ット・ランプリング-目つきが最高!)やら謎は深まるのだ….。

疲れた中年男、R・ミッチャムが物憂く遣る瀬ない男の哀愁を出しているんだ。

気の効いたワイズクラック(警句)も連発するしね。

●監督:ディック・リチャー ●音楽:ディヴィッド・シャイア

●出演:ロバート・ミッチャム シャーロット・ランプリング ジャック・オハロ

ーラン ハリー・ディーン・スタントン  

探偵事務所

Published: 2010年12月16日

長年神戸でプランニング&デザインを生業してきているのだが、オフィスを構える

とき夢として旧居留地の戦前の古いビルに置きたかった。

かって外国航路の船員や怪しげな外国人がたむろしていた海岸通りの裏町だ。

Private EyeやらInvestgations、Civil Criminalなんぞの文字を刷り込んだドア、高い

天井、ゆっくりと廻るファン、時間が染み付いた漆喰の壁、年代物のデスクにタイ

プライター。古いカレンダーやらジョー・ディマジオのサイン入りボール、苦い後

悔の思い出が詰まっているキャビネット、ラッキーストライクの煙草、フォアロー

ゼスの酒瓶、Black MaskやEsquireの雑誌が散らかっているというわけだ。

まあ、デザインの探偵を気取ってみたかった次第だ。

ある時「BOLD LOOK」をテーマにメンズ・ファッションのカタログ作りの仕事が

あった。これは探偵事務所で決まりだ。それで行こう。早速スタジオに部屋を作り

ドアは特注で作りあげた。ボールドルックで決めたモデルを配して….。

楽しかったよ。そのドアは長い間倉庫に眠らせていたのだが、震災で壊れっちまっ

た。またいつかだ、そんなオフィスを持ちたいといまも想っている。

マルタの鷹

Published: 2010年12月1日

ハードボイルドの聖典と言われる「マルタの鷹・The Maltese Falcon」ダシール

・ハメット(1930年)を数十年ぶりに読み直してみた。これは探偵小説というより

悪漢小説ではないか。主人公のサム・スペード、身長6フィート、顎、鼻、眉、額

がV字形で笑えば金髪の悪魔然としている。そしてそのやり方は滅茶苦茶なのだ。

同僚の女房と出来ていて、その同僚が殺されると「あいつは無能だ。1年でクビに

する予定だった」。とか、美人の依頼人から金を絞り取るは、警察に楯突くは、裏

切りを仕向けるは、依頼人と寝た後でうそぶくは、まあ論理的な推理なぞ糞食らえ

である。それまでの推理小説や探偵小説の定型をぶっ壊している。そこがハードボ

イルドなんだろう。徹底して心理描写を排し外から見た目線のみの簡潔な文体、登

場人物に喋らせることでプロットを構成している。ストーリーは単純。1530年に聖

ヨハネ騎士団が神聖ローマ帝国皇帝カール5世贈った「鷹の像」の奪い合いである。

今読めば、まあ正直に退屈である。推理やアクションの面白さなんてない。後半は

読むのに努力を要した。ところが映画になると違うのだ。このイメージがハードボ

イルドを決定づけたのではないか。非情でいてそして男の矜持と行動スタイルのイ

メージをね。スペード(ハンフリー・ボガート)がペンシルストライプのスーツな

んぞ着こなしてカッコいいのだ。気障な科白を吐くし、そしてまあ何と言うお喋だ。

最後のシーンは大演説だ。「一度だけ教えてやろう。相棒が殺されたら男は黙っち

ゃいない。相棒が殺されたら犯人は逃がさない。それが探偵ってものさ」。…….

また「あなたが好きだった。初めて会ったときからよ」「運が良けりゃ20年もす

れば刑務所から出られる。出たらきたまえ。その可愛い首が吊るされなきゃいいが

な」。……刑事が鷹の置物を持ち上げて言う。It’s heavy.What is it?「重いな、何だ

?」「The stuff that dreams made of. 「夢が詰まってるのサ」。

●「マルタの鷹」ダシール・ハメット著 小鷹信光 訳/ハヤカワ・ミステリー文庫

●「マルタの鷹」(1941年・日本公開51年)監督:ジョン・ヒューストン 

 主演:ハンフリー・ボガート、ピーター・ローレ

you tube The Maltese Falcon 他にもいっぱいありますよ。

★写真の金色の鷹どこで手に入れた?昔撮影の小道具で作ったのサ、黒じゃ目立た

ないから金色にしたけどね。

ハードでなければ……。

Published: 2010年11月11日

ハードボイルドの定義とは何か? 固ゆで卵である。いや、新兵を鍛えまくる鬼軍曹

の糊を利かせたカラーである。男っぽく硬質で感傷に流されない、冷酷さと非情さを

持ち、強靭で妥協しないタフガイ。まあ、こういったところか。もちろん小説や映画

上の約束事で、こんな男が実際にいるわけではない。いたら面白いだろうがちょっと

照れるネ…..。文学としては反道徳的、暴力的、結果より行動を冷徹に客観的に簡潔

な描写で記述する文体でE・ヘミングウェイやダシール・ハメットを嚆矢とするとあ

るが、時代が時代だけに正直にいま読むと少々退屈である。

原作は乾いた一視点で事実のみを描写する文体だが、映画となるとセンチメンタル

な面が出て来る。やはり映像と音楽には感情に訴えなければ面白くないわけだ。

ほら有名な「泣かせる科白」ね。「マルタの鷹」でも’‘重いなこれは” ’’夢で作って

あるのサ”なんて原作にはない。「三つ数えろ」も原題は「大いなる眠り」だ。

まあ、男の矜持、痩せ我慢、ストイシズム、皮肉な警句もハードボイルドの大いなる

愉しみだ。中年、いや初老にかかった男のハーレクインロマンみたいなもんだ。

ぼくもポーズだけはハードボイルドを気取っているのでブログでその辺を聞いてもら

いたい…..。バーのカウンターにぽつねんと座りながら同好の士が何処かに居るだろ

うと思ったりしている。但しぼくはそんなに詳しくはない。世の中にはとんでもなく

拘りの好事家がいるから、そのときは頭を下げて一杯奢らねばなるまい。

街と影

Published:

ハードボイルドを知ったのは貸本だった。大阪に「日の丸文庫」というのがあって

漫画の貸本を出版していたのだ。それが「街」と「影」だ。辰巳ヨシヒロ、さいと

うたかお等が、お子様漫画と一線を画したハードなタッチで描いていた。劇画とい

う言葉もここから生まれた。映画の影響を受けたアクションとノワールの世界だ。

作品の内容はリアルでファッションにしてもソフト帽にブラックシャツに白いネク

タイでシガリロくわえたりして…。これはどうも「死の接吻」のリチャード・ウィ

ドマークではないか?宍戸錠なんかも殺し屋役でこんな格好していたね。

そして「ゴルゴ13」のファッション。あれあの時代をいまだに引きずっている。

マルセイユではマドロスキャップにストライプシャツ、ダッフルバッグなんか担い

だりして。そしてスーツの前がスクエアカット。今時そんな人いる?

まあそのリアリズムに胸をときめかした訳だ。そして時代物は「魔像」だった。

小島剛夕、平田弘史、臣新蔵なんてね。懐かしい話だ。

思い出すままに、我がウイタ・ハードボイルドアリスを紐解いていこう。